円形脱毛症の原因とAGAとの違い

円形脱毛症はAGA(男性型脱毛症)とは発生するメカニズムが異なります。

髪を洗ったりセットしたりしている時に、髪の毛が急に抜け落ちてしまった場合、それはもしかすると、円形脱毛症かもしれません。ここでは、円形脱毛症とAGAとの違い、円形脱毛症の原因や治療法について解説します。

円形脱毛症とAGAは別物。治療法は一部を除いて異なる

円形脱毛症01円形脱毛症と同じく、大勢の人が悩まされるのがAGAです。どちらも同じ薄毛・脱毛なのだから、 AGA の治療をしていれば円形脱毛症にはならないと考える人もいるかもしれません。しかし、そうではありません。 AGA と円形脱毛症はその原因がまったく異なり、治療法も違ってくるからです。

AGA の原因は男性ホルモンにあります。ジヒドロテストステロン(DHT)が体内で増加し、髪の生え変わりのサイクルを短くするため髪の毛が成長する前に抜け落ちてしまい、結果的に薄毛になってしまうのです。

AGA の治療に使われる薬には、デュタステリドやフィナステリド、ミノキシジルなどがあります。デュタステリドやフィナステリドは薄毛の進行を抑制する薬で、円形脱毛症には効果がありません。一方、ミノキシジルの効果は血行促進と毛母細胞の活性化です。こちらは外用薬が円形脱毛症の治療に使われることがあります。

症状の面では、AGA は頭頂部や前頭部の生え際が徐々に薄くなっていくのに対し、円形脱毛症は1ヶ所の髪の毛が急激に抜け落ちるという特徴があります。

円形脱毛症は髪の毛が円形に抜け落ちる。年令や性別は問わない

円形脱毛症は、髪の毛が円形や楕円形に抜け落ち、頭皮が露出してしまう病気です。一般的によく見られる症状は、10円玉大の脱毛箇所が1つだけできる「単発型」です。その他、症例が多くはないものの、複数箇所にできる「多発型」、脱毛部分が重なって広範囲の髪の毛が抜け落ちる「全頭型」などがあります。 人種を問わずに発症し,男女の差はなく、年齢にも関係なく発症します

このような髪の抜け方は、加齢による脱毛や AGAとは明らかに異なるものです。AGAでは髪の毛が軟毛化しますが、円形脱毛症は毛が脱落するように抜けていきます。
髪の毛が大量に抜けた時、円形脱毛症かどうかを判断するためには、以下の点に当てはまるかどうかをチェックしてみてください 。

・何の前触れもなく、大量に髪の毛が抜けた。 ・少し引っ張っただけで簡単に髪の毛が抜けてしまう。 ・頭皮が見えるほど髪の毛が抜けてしまっている場所がある。 ・脱毛箇所が円形や楕円形で、周囲との境目がはっきりしている。

円形脱毛症は自己免疫疾患。原因は遺伝やストレスの可能性

円形脱毛症は、「自己免疫疾患」に区分されます。免疫細胞は、私たちの体を細菌やウイルスといった外敵から守ってくれる存在です。ところが、何らかの原因で免疫細胞の働きに異状が生じ、正常な体組織を攻撃してしまうことがあります。Tリンパ球が毛包(毛根)を異物と勘違いして攻撃するため、毛包がダメージを受けて弱り、急激に脱毛してしまうのが円形脱毛症です。
現在、考えられる原因として、主に以下のものが挙げられています。

遺伝

円形脱毛症患者の8.4%に家庭内発症が認められたとする研究があります。親や祖父母が円形脱毛症の場合、子や孫に遺伝する可能性があります。また、家族にアトピー性皮膚炎の患者がいる場合、自分自身がアトピーでなくても円形脱毛症になるリスクが高まります。

ストレス

科学的には明確な根拠がまだありませんが、強いストレスを受けた場合、免疫機能に悪影響を及ぼし円形脱毛症になってしまうおそれがあるとされています。仕事や勉強のストレスはもちろん、不規則な生活や睡眠不足などにも注意が必要です。

アトピーとの関係

円形脱毛症の患者の61%に、アトピー性疾患(気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、軽度のアレルギー性鼻炎)のいずれかを合併していたという報告があります。円形脱毛症の重症群ほどアトピー素因の合併率が高く、どのように関わっているかは明らかになっていないものの、円形脱毛症とアトピー素因の関連性は高いとされています。

円形脱毛症の治療には、ステロイドやミノキシジルが用いられる

円形脱毛症は、ストレスなどによる一時的なものであれば、自然治癒することもあります。しかし、広く抜けている場合は脱毛が長引き、重症化することも少なくありません。

円形脱毛症であるのか、AGAであるのか、あるいはそれ以外の原因なのか。原因を特定するためにも、早い段階で医師の診察を受けた方がいいでしょう。 円形脱毛症の治療には、ステロイド、ミノキシジル外用薬などが用いられます。

円形脱毛症もAGAも放置は危険。お早めにご相談を

円形脱毛症は、重症化するとほぼすべての髪を失ってしまうおそれもある疾患です。ある程度以上の年齢の人は、加齢による抜け毛と混同してしまい、適切な処置をしないまま放置してしまうこともあるでしょう。

しかし、円形脱毛症もAGAも、早めの対策が早期改善につながります。 まずは、円形脱毛症であるのか、AGAであるのか、薄毛・抜け毛の原因を診断してもらいましょう。